民法改正で、遺言書が書きやすくなったって本当かい
本当だよ。自筆証書遺言に関する規定が大幅に緩和されたから解説するよ。
自筆証書遺言の全文が手書きでなくてもよくなった
改正前の民法では「自筆の証書で遺言を残すには、遺言者が、その全文や日付、氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と規定されていました。
つまり、自筆証書遺言を作成する際には、最初から最後まで全て遺言者が自書(手書き)する必要がありました。これが高齢者にはとても大きな負担となっていました。
しかし今回の民法改正により、全文を手書きしなくてもよくなりました。
手書きでなくていいのは財産目録
全文を手書きでなくても良くなったとはいえ、原則は手書きであることは変わりません。
改正相続法では、自筆証書遺言の「財産目録」については手書きで作成する必要がないこととされました。
上手な使い方
では、具体的にどのように活用したらいいかを解説します。
・金融資産明細は通帳等コピーで代用
・不動産明細は登記簿謄本コピーで代用
財産目録をパソコンで作成
改正相続法では、自筆証書遺言の「財産目録」については手書きで作成する必要がないこととされました。
これにより、パソコンで作成した財産目録を遺言書に添付することができるようになりました。
特に負担が軽減されるのは、不動産に関する記載事項です。
遺言書における不動産事項は、不動産登記簿どおり記載しなければなりません。
例えば、マンションであれば以下のよう記載する必要があります。
所在 ○○市○○町◯丁目◯番地
建物の名称 相続マンション
専有部分の建物の表示
家屋番号 ◯◯市◯◯一丁目◯◯番の301
建物の名称 301号
種 類 居宅
構 造 鉄骨造1階建
床面積 3階部分 35.15平方メートル
敷地権の表示
符号1
所在及び地番 ◯◯市◯◯町一丁目◯◯番
地目 宅地
地積 500.00平方メートル
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 100000分の35
これを高齢者が書くのは大変じゃのう。しかも他に不動産を持っていたら、全部書くんじゃな。。
そうだよ。これをパソコンで作成出来るようになったのだから、かなり負担は減るよ。
金融資産明細は通帳等コピーで代用
金融資産については、預金通帳や、証券会社から届いた取引残高報告書などのコピーを遺言書に添付することができるようになりました。
これまでは金融機関名、支店名、口座番号などを手書きしていたので、これも負担軽減となります。
不動産明細は登記簿謄本コピーで代用
不動産に関する事項は、紹介したように財産目録に記載してもいいし、登記事項証明書のコピーの添付でも可能になりました。
ついに明細を作成する必要もなくなってしまったのか。本当に簡単になったのう。
注意点
ただし、以下の点にも注意しましょう。
・遺言の本文は原則どおり自書が必要
・遺言本文が記載された紙に、不動産表示などワープロ記載すると無効
財産目録は必ず別紙にして、遺言者本人の署名押印を忘れないようにしましょう。
コメント