近所のじいさんが亡くなったんじゃが、「相続人代表者指定届」という書類が送られきたそうじゃ。なんじゃこれは。
今回は「相続人代表者指定届」について解説するよ!
家族が亡くなってしばらくすると、市町村から「相続人代表者指定届」という書類が送られてくるケースがあります。どのような書類なのかについて解説します。
相続人代表者指定届とは
相続人代表者指定届とは、不動産に関する「納税通知書」を受け取る代表者を指定するための書類です。
相続人のうち誰か1人を代表者と決めて、市町村へ提出すると、その人の元へ納税通知書が届くようになります。
どのような役割があるか
不動産の所有者が死亡すると、市町村は相続人あてに納税通知書を発送する必要があります。
固定資産税などの税金を引き続き支払ってもらうためです。
しかし相続人が複数いる場合、誰に送れば良いか判断できないので、相続人のうち誰か1人に「相続人代表者指定届」を送り、代表者(納税通知書の送付先)を決めさせるのです。
相続人代表者指定届は誰に送られるか
相続人代表者指定届は、亡くなった不動産所有者の相続人に郵送されます。
ただ複数いる場合は、どの相続人に優先して発送されるかについては公表されていません。
通常は、その不動産に居住している相続人がいれば、優先的に送られます。
誰も住んでいない場合は、同じ市町村内に住んでいる相続人に送られてくる傾向があります。
誰に納税義務があるのか
相続人代表者指定届を受け取ったからといって、その相続人が固定資産税を払わねばならないわけではありません。
単に代表者を定めるだけの書類だからです。また相続人代表者指定届を提出しても、その不動産を相続する人が確定するわけでもありません。
相続人代表者指定届の書き方
相続人代表者指定届の書式は各市町村によって異なります。代表例を挙げて、記入方法を解説します。
相続人代表者を決める
まずは相続人同士で連絡を取り合って、固定資産税の納税通知書を受け取る相続人代表者を決めましょう。
ここで決めるのは、誰が納税通知書を受け取るかだけです。
ここで支払う税金は、基本的に法定相続人全員が相続分に応じて負担するものです。
相続人代表者欄に記入する
代表者が決まったらその人の名前を「相続人代表者(申請者)」の欄に書き入れて、本人が署名押印します。
その他にも住所、生年月日、被相続人との続柄なども記入しましょう。
相続関係者の情報を記入する
被相続人の氏名、住所、死亡年月日、他の相続人の氏名、住所、被相続人との続柄などの必要事項を記入すれば完成です。
なお、書式は市町村によって異なるので、実際に送られてきた書式に従って作成してください。
提出方法
役所へ持参していいですし、郵送でもかまいません。返信用封筒が同封されている市区町村もあります。
代表者が固定資産税を支払った場合の清算
相続人代表者を定めても、税金は各相続人が法定相続分に応じて負担すべきものとされています。
相続人代表者が納付書を使って固定資産税や都市計画税を支払ったら、他の相続人の分を肩代わりしたことになるので、清算をしましょう。
最終的にその不動産を相続した人が、まとめて清算することも出来るよ。
相続人代表者指定届を無視した場合
相続人代表者指定届を提出しないこと自体にペナルティーはありません。
ただし、これらの納税義務は相続人全員の連帯責任になります。
不払い状態になると、市町村からそれぞれの相続人へ督促されます。
最終的に財産の差押えを受けるリスクもあります。早めに代表者を決めて届出をしましょう。
相続放棄をする場合には申し出よう
相続放棄をしたら、その相続人は何も相続しないので、相続人代表者にもなりえません。
しかし、相続放棄した事実は市町村には伝わらないので、自分で申し出る必要があります。
もし確認書類を求められたら、家庭裁判所から届いた相続放棄の受理通知書などを市町村へ提示しましょう。
相続放棄する場合の注意点
相続放棄する場合、固定資産税などを支払ってはいけません。
支払いをしたら単純承認が成立して、相続放棄できなくなってしまいます。
相続放棄をしたあとでも、支払いをすると相続放棄が無効になって原則とおり相続しなければなりません。
相続放棄した方のもとへ相続人代表者指定届が届いたら、すぐに役所へ連絡を入れて事情を説明しましょう。
相続放棄については、この記事に詳しくまとめたよ!
遺産分割協議後はどうなるか
遺産分割協議で不動産の相続人が決まって相続登記が終わったら、その後はその相続人の元に納税通知書が届くようになります。
コメント