近所のじいさんが亡くなったんじゃが、同居している長女がほとんど世話を見ていたぞ。
「寄与分」が認められれば、他の相続人より多くもらえる可能性があるね
ほほう。難しそうじゃのう。そもそも寄与分ってなんじゃ
寄与分とは
寄与分とは、故人の財産維持または増加について特別の寄与をした相続人がいる場合に、その相続人に対して相続分以上の財産を取得させる制度をいいます。
よく利用されるケースとしては、故人の介護に従事していたことや、故人の事業をサポートしていた場合などが多いです。
相続人でない人の場合は、「特別寄与料」という制度もあるよ
寄与分はもめることが多い
他の相続人が故人の介護してくれたことに感謝して、相続分を増やすことに賛成してくれるのであれば、話し合いで解決することができます。
しかし、他の相続人に故人の介護や事業を任せておきながら、いざ相続が発生すると均等に分けるべきと主張する相続人も少なくありません。
そうなると話し合いでの解決は難しくなってきます。
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寄与分を求める調停は2種類
相続人の間での話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
調停とは、裁判官と一般市民から選ばれた調停委員などが間に入り、当事者の自主的な紛争解決の手助けをしてくれる制度です。
寄与分を求める調停には、「遺産分割調停」と「寄与分を定める処分調停」があります。
どのような違いがあるんじゃ。
どちらかを申し立てれば寄与分に関する話し合いができますが、「遺産分割調停」と「寄与分を定める処分調停」は併せて申し立てることができます。
可能であれば、このふたつは併合して手続きを進めることが望ましいです。
寄与分を求める調停と審判の流れ
ここからは、どのような流れで調停や審判が進んでいくか解説します。
調停の流れ
調停を申し立てると、まず調停委員会が、当事者双方から事情を聴いて、必要であれば関連資料などの提出を求めます。
そして解決案を提示したり、解決のために必要な助言をしたりして、合意を目指した話し合いが進められます。
調停は、1カ月~1カ月半の間隔で平日に行われて、1回あたりの時間はおおむね2時間程度です。
審判の流れ
話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には、裁判官が分割方法を決める「審判」の手続きが開始されることになります。
審判手続きでは、裁判官が当事者双方から事情を聞いたり、資料などの提出を受けます。そして寄与分を認めるか、認める場合にはどの程度の寄与分を認めるかの判断を下します。
審判が確定すると、その内容に従って相続人が財産を取得することになります。
審判に不服があれば即時抗告できる
審判に不服があれば、即時抗告をすることができます。
即時抗告をした場合、遺産分割審判をした家庭裁判所を管轄する高等裁判所がその当否を判断することになります。
家庭裁判所の裁判官とは異なる裁判官が判断するため、家庭裁判所で認められなかった主張でも認められる可能性はあります。
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寄与分の調停を申し立てる方法
寄与分の調停を申し立てるには、相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所に下記の書類を提出しましょう。
遺産分割調停も寄与分を定める処分調停も基本的に必要書類は一緒です。
ただし、各家庭裁判所独自の必要書類を定めていることもありますので、管轄の家庭裁判所のホームページも確認してみてください。
寄与分を認めさせる方法
寄与分が認められる要件は厳しいので、単に「介護に尽くした」「事業を手伝っていた」と主張しても簡単に認めてはもらえません。
他の相続人に寄与分を認めさせるには、法律や裁判例に沿った主張や立証をしっかり行う必要があります。
主張や立証に説得力があれば、調停委員からも相手方に説得してくれるでしょう。 なお、審判に移行した場合は、裁判官が判断することになりますから、なおさら証拠が重要になります。
寄与分の調停、審判を専門家に依頼するメリット 3選
調停や審判となったら、全て自身で進めるのは困難となるので、早い段階で専門家に相談するとよいでしょう。
ここでは専門家に依頼するメリット3選について解説します。
法律的にきちんとした主張や立証ができる
弁護士は、専門的な知識や経験に基づいて、寄与分を適切に考慮した遺産分割方法を考えてくれますし、寄与分を立証するための証拠集めもサポートしてくれます。
このように、弁護士に依頼することで法律的にきちんとした主張・立証ができるようになるため、調停や審判を有利に進められる可能性が高まります。
調停や審判手続きなどの対応を代行してもらえる
調停になると、家庭裁判所へ平日に何度も行かなければなりませんし、裁判所に提出する書面や資料の準備もしなければなりません。
弁護士に依頼すれば、代わりに家庭裁判所に弁護士が行ってくれますし、書面や資料の準備もしてくれますから、手間やストレスが大幅に減ります。
寄与分に限らずトータルでサポートしてもらえる
遺産分割では、寄与分に限らず、特別受益や使い込みなどいろいろなことが問題になりがちです。
例えば、故人と同居していた場合、他の相続人から預貯金の使い込みを疑われることもあるでしょう。
このように寄与分以外のことが問題になっても、弁護士にサポートしてもらえます。
まとめ
寄与分の調停や審判を有利に進めるには、弁護士のサポートが不可欠となります。
寄与分について他の相続人と争いがあるなら、早めに相続に詳しい弁護士に相談すると良いでしょう。
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