遺産分割のやり直しに時効はある?かかる税金も解説

相続

近所のじいさんの遺産分割が終わったんじゃが、やり直ししたいと騒いでる子がいるそうじゃ。無理じゃろう。

いや、遺産分割協議のやり直しはできるよ!でも注意すべきこともあるよ!

遺産分割のやり直しは可能

基本的に、いったん成立した遺産分割も相続人全員が納得すれば、やり直しが可能です

また遺産分割協議のときに重大な錯誤や詐欺、強迫などがあった場合、合意がなくても「取消」を主張してやり直しを求められます。

遺産分割に時効はない

遺産分割そのものには時効はありません。

相続開始後、何年が経過していても遺産分割協議や調停、審判によって遺産分割方法を決められます

同じように遺産分割のやり直しも時効はありません。

取消権には時効がある

ただし遺産分割のやり直しに時効があるケースもあります。

それは錯誤、詐欺や強迫を理由に遺産分割を取り消したいときです

取消権は「だまされた」「脅された」「勘違いしていた」と気づいたときから5年が経つと、やり直しを求める権利が消滅してしまいます。

時効がある相続手続き一覧

相続に関連して、時効(期限)がある手続きには以下のようなものがあります

・死亡届…死亡後7日以内
・健康保険、年金の手続き…厚生年金は死亡後10日以内、国民健康保険や国民年金は死亡後14日以内
・相続放棄、限定承認…相続があったことを知ってから3ヶ月以内
・準確定申告…相続開始後4ヶ月以内
・相続税の納税…相続開始後10ヶ月以内
・遺留分侵害額請求…遺留分侵害の事実を知ってから1年以内

遺産分割をやり直せる条件

遺産分割をやり直せるのは、以下のいずれかの場合です。

相続人全員の合意がある

いったん遺産分割協議を成立させても、相続人全員が合意すればやり直しが可能です

ただし1人でも反対すると、合意によるやり直しはできません。

新たな財産が見つかった  

遺産分割後、新たな遺産が見つかった場合にも再協議が必要です

この場合、すべての協議をやり直す必要はなく、新たな財産の分け方だけ決めれば充分です。

ただし、新たに発見された遺産が非常に重要なものであれば、全体のやり直しが必要となるケースもあります。

遺産分割協議が無効であった

遺産分割協議には、相続人全員が参加しなければなりません。

1人でも参加していない相続人がいたら、無効になります

また認知症などで判断能力の無い相続人が遺産分割協議に参加していた場合にも、遺産分割協議は無効となります。

遺産分割協議を取り消す

誰かにだまされた(詐欺)、脅された(強迫)、重大な勘違いをしていた(錯誤)場合、遺産分割協議を取り消してやり直しを求められます。

やり直しを求めても対応しない相続人がいる場合は、裁判所で「遺産分割協議無効確認訴訟」という裁判を起こすことができます

裁判所が事実認定を行い、以前の遺産分割協議が無効となります。

遺産分割協議をやり直しても、第三者は保護される

遺産分割を成立させると、合意した内容を前提に第三者に権利が移転されるケースがあります。

たとえば不動産の相続人が売却してしまう場合です。

この場合、遺産分割協議をやり直しても基本的には第三者へ返還を求められず、売却は有効となります

確かに、無効になったら何も知らずに買った人が気の毒じゃからのう。

贈与税や所得税が発生する

遺産分割協議をやり直すと「二重課税」となるリスクがあります。

再協議によって当初とは別の人に不動産などの財産を相続させると、税法上は「贈与」となります。

また支払いがあれば「売買」になります。

つまり遺産分割協議をやり直すと、当初の「相続税」とは別に「贈与税」や「所得税」が発生してしまうケースがあります

不動産取得税、登録免許税が発生する

再協議をするときに不動産もあれば、相続登記もやり直さねばならないため、新たな登録免許税が発生します

またやり直した場合には「贈与」や「売買」の扱いとなるため、不動産取得税もかかります

まとめ

遺産分割協議のやり直しには、基本的に時効がなく、全員が合意すれば、いつでも再協議が可能です。

ただし、税金が二重にかかったり不動産登記手続きが必要となったりするデメリットがあるので注意しましょう

しっかり最初に話し合いをするのが大切だね!

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