近所のじいさんの相続で、家族が揉めて遺産分割調停をしているそうじゃ。しかし、どこの家庭裁判所でも受け付けてくれるのかい。
どこでも受け付けてくれる訳ではないよ。
そもそも遺産分割調停ってなんじゃ。
遺産分割調停とは
遺産分割調停とは、遺産分割協議がまとまらなかったとき、遺産分割の方法を話し合うための家庭裁判所での手続きです。
遺産分割調停を申し立てる裁判所
遺産分割調停は、どこの裁判所でも受け付けてもらえるわけではありません。
「相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所」と決まっています。
基本的には、相手方の住所地の家庭裁判所と考えると良いでしょう。
相手方が複数いる場合には、できるだけ近い場所の相手方を選んで、その管轄地の家庭裁判所へ申し立てると便利です。
合意があれば、裁判所を変更できる
遺産分割調停を管轄してもらう裁判所は、当事者の合意があれば自由に定められます。
これを「合意管轄」と言います。
たとえば「被相続人の住所地の管轄裁判所」にもできるので、お互いが遠くに住んでいる場合などには公平のために管轄の合意をすることもいいでしょう。
管轄のない家裁での「自庁処理」とは
合意管轄が適用されないケースでは、管轄地以外の家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てても、基本的には管轄地の家庭裁判所へ「移送」されてしまいます。
ただし、原則的な管轄地で審理を行うのが著しく困難な事情があれば、管轄外の家庭裁判所であっても稀に申立を受け付けてもらえるケースがあります。
職権で自ら事件を処理することを「自庁処理」といいます。
遺産分割審判とは
遺産分割調停が不成立になると、「遺産分割審判」という手続きに移行します。
遺産分割審判とは、裁判所が遺産分割の方法を決定することです。
遺産分割協議や遺産分割調停は、相続人同士が話し合う手続きですが、遺産分割審判は話し合いではありません。
遺産分割審判の管轄裁判所
遺産分割審判の管轄裁判所は以下の2種類です。
・ 合意した裁判所
つまり、審判では調停のように「相手方の住所地」ではなく「相続開始地(被相続人が死亡したときの住所地)」の家庭裁判所で審理されます。
そのため、調停とは管轄が異なる場合があります。
家庭裁判所が遠方な場合
遺産分割調停には、当事者は基本的に毎回家庭裁判所へ出席しなければなりません。
目安として5回程度は話し合いの場が設けられ、期間も半年以上はかかります。
裁判所が遠方の場合、交通費も時間もかかるので申立人には大きな負担となります。
それは大変じゃのう。なにか負担を減らすための方法はないのかのう。
いくつか方法はあるよ!
電話会議システムを利用する
遺産分割調停の管轄裁判所が遠方の場合、電話会議システムを利用できる可能性があります。
電話会議システムとは
電話会議システムとは、申立人が相手方の住所地の家庭裁判所に行かずに電話で審理を進める手続きのことです。
つまり、相手方は相手方の住所地の家庭裁判所に出頭し、申立人は申立人宅の近くの家庭裁判所に出頭して、それぞれの家庭裁判所の専用の電話機を使って会話をする方法です。
電話会議システムの注意点
電話会議システムでは、自宅の電話は使えず、最寄りの家庭裁判所へ行かなければなりません。
また、「電話会議システムを適用してほしい」と言っても、必ず許可されるとは限りませんので注意しましょう。
いきなり遺産分割審判を申し立てる
一般的には、遺産分割調停で話し合いがまとまらなかった場合、遺産分割審判に移行しますが、調停をせずにいきなり遺産分割審判を申し立てることも可能です。
ただし、実際には調停せずに審判を申し立てると、家庭裁判所の判断で調停を求められるケースがほとんどです。
まずは相続人で話し合うように促すんだね!
やはり、揉めないようにあらかじめ遺言書を準備するのが1番じゃのう
遺産分割審判については、この記事でも解説しているよ!
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