公正証書遺言の効力が無効になるケースとは。また無効となったらすべきことを解説

遺言書

公正証書遺言を作成しておけば、絶対にその通りになるんじゃな。 

いや、自筆証書遺言よりは確実性が高いけど、必ずしも無効にならないわけではないよ 

なにっ、そうなのか。どんなケースで無効になるのか教えとくれ 

公正証書遺言とは、公証人の関与により作成する遺言書です。 

自分自身が手書きで作成する「自筆証書遺言」に比べて、公証人関与のもと作成する方法であるため、最も確実な遺言書です。 

その特徴は以下の通りです。 

公正証書遺言の特徴

・公証人が遺言の作成に関与するため、内容が無効になることはほとんどない
・原本が公証役場に保管されているため、変造のおそれがない 
・家庭裁判所の検認手続が不要である 
・自筆、署名できない方でも作成可能である 

このように、無効となる可能性も低く、遺言者の希望を実現させるためには最も適した方法ですが、無効となるケースもあります。

公正証書遺言が無効になるケースとは 

どのような場合に公正証書遺言が無効になってしまうのでしょうか。

その代表的なケースをいくつか解説します。 

遺言能力がなかった 

遺言者が有効な遺言をするには、遺言能力、すなわち遺言内容やその影響の範囲を理解できる能力が必要です。 

この遺言能力がない状態で作成された遺言は無効となってしまいます。 

たとえば、一部の相続人が、遺言者は認知症であったなどと主張して遺言能力が争われることは少なくありません。 

\まずは専門家に無料相談/ 

証人が不適格であった 

公正証書遺言を作成する際には、証人2人以上の立会いが必要です。 

そして、この証人には以下の人はなることができません

。そのため、これらの者を証人として作成された遺言は無効です。 

<証人となれない人> 

・未成年者  
未成年者には充分な判断能力がないので、証人になれません。  
・受遺者  
遺言によって遺産を引き継ぐ受遺者本人も、相続人と同様の理由で証人になれません。  
・推定相続人、受遺者の配偶者や直系血族  
推定相続人や受遺者の配偶者、親や祖父母などの直系尊属、子どもや孫などの直系卑属がかかわると遺言内容の公正さを保てないので、証人になれません。 
・公証人の配偶者、四親等内の親族、書記、使用人  
公証人に近しい人がかかわるとチェック機能が働きづらくなるので、証人になれません。 

口授を欠いていた 

公正証書遺言を作成する際、遺言者は、遺言の趣旨を公証人に口授しなければなりません。「口授」とは、口頭で述べるということです。 

原則として動作によって伝えることは許されないため、病気などの理由で発話が困難になった遺言者の遺言に関し、口授の有無が問題になることがあります。 

なお、口がきけない人は、公証人の面前でその趣旨を筆談するか、通訳人の通訳を通じて申述する形で公証人に意思を伝えることで「口授」に代えることが可能です。 

詐欺、強迫、錯誤があった 

詐欺、強迫、錯誤による遺言は、民法の一般原則に従い、取り消すことが可能です。 

ただし、遺言者が生存中は、遺言を撤回したり新たに遺言を作成したりすることで対応できます。 

遺言者の死後に問題が発覚した場合、詐欺や強迫などをされた遺言者本人が亡くなっている以上、相続人などがこれらの事実を立証することは困難です。 

\まずは専門家に無料相談/ 

公序良俗違反 

配偶者がいながら他の交際相手に全財産を遺贈する遺言などが典型的なケースで、公序良俗違反して遺言が無効になり得ます。

また世話になったからという理由で、弁護士への多額の遺贈なども、問題視されるケースが散見されます。 

公正証書遺言が有効となる要件を満たしていなかった 

公正証書遺言の基本的な要件は下記のとおりです。

これらを作成時に満たしていないケースでは、無効となる可能性もあります。 

・遺言能力がある 
・遺言者の年齢が15歳以上 
・証人2人以上の立会い 
・遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する 
・公証人による口授の筆記と公証人から遺言者
・証人に対する筆記した内容の読み聞かせ、閲覧 
・遺言者・証人が筆記の正確なことを承認し
、各自署名、押印する 
・公証人が前各号に掲げる方式に従って作ったものであることを付記し、署名押印する

ただし、このあたりは遺言書を作成してくれる公証人がきっちり対応してくれるから、心配しなくても大丈夫だよ。 

公正証書遺言と遺留分侵害額請求の関係 

遺留分侵害額請求とは、被相続人(故人)が遺留分を侵害するような遺贈や贈与をした場合に、財産をもらった者に対して自己の遺留分に相当する金銭の支払いを請求することをいいます。 

公正証書遺言であっても、上記の遺留分侵害額請求を防ぐことはできません。 

そのため、相続人の遺留分を侵害する内容の公正証書遺言を作成した場合、遺留分を侵害された相続人が遺留分侵害額請求をする可能性は否定できません。 

遺留分侵害額請求を受けると、遺言自体が無効となるのかい? 

遺留分侵害額請求をされたからといって遺言自体が無効になるわけではありません。 

遺言に沿って財産を取得したうえで、財産を取得した人が遺留分に相当する金銭を支払う形になります。 

公正証書遺言の有効期限 

公正証書遺言の原本は公証役場で厳重に保管され、持ち出しは原則として禁止されています。

通常公正証書の保存期間は20年ですが、例外的に公正証書遺言は原則として遺言者が120歳になるまで保存されているようです。 

近時は遺言者に長寿化の傾向もあって、20年経過後に遺言者から公正証書遺言の正本等の再発行を求められた場合に対応できるようにするためです。 

公正証書遺言の効力が争われたときの対処方法 

訴訟になると時間も費用もかかりますので、まずは交渉で決着させることが望ましいです。 

負担を軽減するため、いきなり訴訟で争うのではなく、交渉から開始するのが一般的です。 

ただし、遺言が有効かどうかで、各人が取得できる財産に大きく差が生じる場合は、交渉で決着しない事例も多いのが実情です。 

交渉で決着しなかった場合

交渉で決着しなければ、遺言無効確認請求調停や訴訟を提起され、裁判所で決着をつけることになります。 

訴訟で遺言が無効という判決が確定した場合は、遺言がなかったものとして、相続人同士で遺産分割協議をすることになります。 

また遺言が有効という判決が確定した場合は、遺言に沿って財産を承継することになります。

まとめ 

公正証書遺言が無効になるか争いが生じた場合は、弁護士のサポートが不可欠となります。 

早めに相続に詳しい弁護士に相談すると良いでしょう。 

\まずは専門家に無料相談/ 

コメント

タイトルとURLをコピーしました