不在者財産管理人とは。予納金の相場や終了条件など徹底解説

相続

遺産分割協議など相続の手続きをするには、相続人全員の同意が必要です。

もし行方不明や音信不通の相続人がいるなら、「不在者財産管理人」を選任しないと、手続きを進められないケースがあります。

この記事では、不在者財産管理人の役割や、選任方法、費用、注意点などについて徹底解説します

近所のじいさんが亡くなったんじゃが、息子が行方不明で、手続きに困ったと言っていたのう。何のことじゃろう。

それは遺産分割協議ができなくて困ってるんだね。相続人の全員がいないと、進められないからね!

なに、全員がいなくてはいかんのか。しかしどうしても連絡がつかないときは、どうしたらいいんじゃ。 

行方不明の相続人の代わりに、「不在者財産管理人」を選んで、遺産分割手続きを進めることができるよ!

不在者財産管理人とは

不在者財産管理人とは、相続の場面で相続人が行方不明で相続手続きを進められないときに、その人の手続きを代理する人のことです。

遺産分割協議は、相続人が1人でも参加せずに行うと無効となってしまいます。

そこで行方不明者に代わって、選任された不在者財産管理人が遺産分割協議に参加することで、相続手続きを進めることができるようになります。

不在者財産管理人の仕事

不在者財産管理人の仕事は、行方不明となっている相続人の財産を管理することです。

その業務のひとつとして、行方不明者が相続人となっている遺産分割協議に参加することができます。

また、行方不明者の財産について財産目録や収支報告書を作成して、定期的に裁判所へ報告するなどの義務も発生します。

不在者財産管理人を選任できる条件

不在者財産管理人を選任できるのは、本人が行方不明で「不在者」といえるケースだけです。

つまり、どこにいるのかわからず、連絡も一切とれない、帰ってくる見込みが一切ない状態である必要があります。

住民票での住所に住んでいないことはもちろん、電話など含めて連絡をとる方法が一切ない状態が数年間続いているような場合です。

連絡はとれないけれど居場所がわかっていたら、不在者であると認められません。

失踪宣告との違い

行方不明者がいるときに、相続手続きを進める方法として、失踪宣告があります。

失踪宣告では、本人は死亡したものとして相続手続きを進めることができるようになります。

一方で、不在者財産管理人を選ぶ場合は、死亡したことにはならず、あくまで「行方不明者」として扱います。

また失踪宣告を申し立てるには、7年以上行方不明である必要がありますが、不在者財産管理人の場合にはこういった期間制限はありません。

よって行方不明になってから7年以上が経過しているなら、失踪宣告を申し立てることで遺産相続手続きを進めることもできます。

不在者財産管理人の選任方法

不在者財産管理人の申立ては、「不在者の住所、または居所を管轄する家庭裁判所」に対して行います。

申立てできる人

・相続人など利害関係人
・不在者の親族
・債権者
・検察官

申立人は、不在者がいることで遺産分割協議を進められない相続人、不在者の親族、債権回収ができない債権者など、不在者がいることにより利害関係が生じる人物です。

まれに検察官が申立人となるケースもあります。

選任時の必要書類

・申立書
・不在者の戸籍謄本
・不在者の戸籍附票
・不在者財産管理人の候補者の住民票(または戸籍附票)
・不在者の不在を証明する資料
・不在者の財産に関する資料
・申立人の戸籍謄本や賃貸契約書などの申立人との関係性を証明するもの

必要書類は、不在者、不在者財産管理人に選任する人物、申立人の3者の書類を集める必要があります。

また不在であることの証明資料や、不在者の財産が分かる書類(通帳写しや不動産謄本など)も必要となります。

裁判所が「不在である」と認めたら、不在者財産管理人が選任されます。

申立人が選任した人物が選ばれることが多いですが、裁判所がその人は適していないと判断した場合は、弁護士などの専門家が選任されることもあります。

必要となる費用

・800円分の収入印紙
・連絡用の郵便切手
・予納金(30万~100万円)

必ずかかる費用は、収入印紙800円と郵便切手代のみです。

ただし、不在者の財産が乏しく、不在者の財産から財産管理人への報酬などを支払うことが難しいと家庭裁判所が判断した場合は、家庭裁判所は申立人に対して30万~100万円程度の予納金の納付を求めるケースがあります。

不在者財産管理人に選ばれる人

不在者などと利害関係のない人であれば、候補者となることができます。

また候補者がいない場合には、弁護士や司法書士などの専門家から選任されます。

不在者財産管理人を選任する注意点

次に、不在者財産管理人を選任する注意点について解説します。

不在者に不利な遺産分割協議はできない

不在者財産管理人は、不在者本人に不利な財産処分はできません。

よって、遺産分割協議の際には、最低でも「法定相続分」は取得させる必要があります。

どうしても不在者に多くの財産を遺したくない場合は、事前に遺言書を書いておく必要があります。

その場合でも、遺留分については遺す必要があるから注意が必要だよ!

手続きの負担が大きい

不在者財産管理人になったら、財産管理をして定期的に裁判所へ報告する必要があります。

親族が選任されると負担が重いと感じるデメリットがあるので、候補者を立てる場合は、慎重に検討しましょう。

報酬が発生する

弁護士などの専門家が不在者財産管理人に選任されると、報酬が発生します。

報酬の相場は、月1万~5万円程度とされています。

その金額は、不在者財産管理人が裁判所へ請求することにより不在者の財産から報酬が支払われます。

注意点として、後に本人が現れたり、連絡がとれたときに納得せずトラブルになる可能性もあります。

確かに知らないところで何十万円も取られていたら、困るのう。

遺産分割が終わっても職務が終了しない

不在者財産管理人の業務は、遺産分割手続きが終わっても続きます。

任務が終了するのは次のうち、いずれかに当てはまる場合です。

・不在者が現れたとき
・不在者の死亡が確認されたとき
・不在者の失踪宣告が行われたとき

つまり、親族が選任されたときには不在者が帰ってくるか死亡が確認されるか失踪宣告するまで手続き上の負担が継続することとなります。

また、専門家が選任されたときには多額の費用がかかり続けてしまいます。

まとめ

不在者財産管理人を選ぶと、遺産分割手続きが終わってからも、その負担は続いていきます。

自己判断で安易に不在者財産管理人を選任しまうと、その後に大きなトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。

そういったトラブルを避けるためにも、まずは専門家に相談してから対応を進めましょう。

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