任意後見制度とはなにか。その費用や手続きを解説

相続

近所のじいさんは、認知症になるまえに自分の後見人を選んでいたらしいのう

それは、任意後見人のことだね。自分が認知症などになる前に、信頼できる人を後見人に選ぶことができるよ!

成年後見人とはなにか

成年後見人とは、認知症などによって判断能力が大きく低下した人の財産を守るために、家庭裁判所から選任されて、財産保護や身上監護を行う者のことです。

成年後見人が選任されると、本人の財産は、家庭裁判所の監督のもと、成年後見人が管理することになります。

成年後見制度の2つの分類

成年後見制度は「法定後見」と「任意後見」の2つに分けることができます。

法定後見とは

法定後見とは、家庭裁判所の決定により成年後見人を選任する制度です。

配偶者や相続人が家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てることで手続が開始されます。

後見人は家庭裁判所が選ぶことになりますが、7割以上は司法書士や弁護士などの専門家が選ばれています

任意後見

任意後見は、これから認知症の発症が不安な方が、元気なうちに自分が信頼できる人を後見人に選任しておくものです。

実際に判断能力の低下した場合に、家庭裁判所に申し立てることで後見手続が開始されます。

任意後見人になれない人

任意後見人は、自分で信頼できる人を自由に選択することができます。ただし、以下のような人は成年後見人になることができません。

・未成年者
・家庭裁判所で解任された法定代理人、保佐人、補助人
・破産者
・行方不明者
・本人に対して訴訟をした者、その配偶者、直系血族
・不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由がある者

法定成年後見制度は3種類ある

法定成年後見制度には、「後見人」のほかに、「保佐人」「補助人」という制度があります。

対象者の判断能力によってそれぞれサポートする人の権限範囲が異なります。

ただし、現状では成年後見人が選任されるケースが全体の約8割となっています。

全体的には、平成29年12月末日時点の利用者数については、成年後見の割合が約79%、保佐の割合が約16%、補助の割合が約5%、任意後見の割合が約1%となっています。

なんと!自分で事前に選んでおく任意後見は、ほとんど使われていないじゃないか

そうなんだ。任意後見という制度が浸透していないことも大きな原因の1つだよ。

具体的な任意後見人との契約ステップ

では、さっそく任意後見人との契約方法について解説します。

任意後見人を決める

まずは誰に任意後見人になってもらうかを決めましょう。

任意後見人になるためには資格は必要ありません。家族や親戚、友人、弁護士や司法書士のほか、法人とも契約を結ぶこともできます。

任意後見人との契約内容を決めよう

次に契約内容を決めましょう。

任意後見人にどのような事務を依頼するかは、契約当事者同士の自由な契約によります。

任意後見契約で委任することができるのは、財産管理や、療養看護に関する事務や法律行為です。

また、それらの法律行為に関する登記などの申請もすることができます。

公正証書で任意後見契約をしよう

契約の内容が決まったら、本人と任意後見受任者の2人が、公証役場に行って公正証書を作成します。

公正証書とは、公証役場の公証人が作成する証書のことです。

公正証書によらない任意後見契約は無効となります。また、公正証書を作成するために必要な費用は、だいたい2万円程度です。

公証役場とは、公正証書遺言を作成するところじゃな!

任意後見監督人選任の申立てをしよう

認知症の症状がみられるなど、本人の判断能力が低下したら、任意後見監督人の選任を申し立てましょう

申立て先は、本人の住所地の家庭裁判所です。

申立てができるのは、以下の方々です。

・本人
・配偶者
・四親等内の親族
・任意後見受任人

なお、原則として本人以外が申立てを行う場合には、本人の同意が必要です。任意後見の手続の流れは、下記の通りです。

・任意後見監督人の選任を家庭裁判所に申し立てる
・任意後見監督人が選任される
・任意後見契約の効力が発生。任意後見監督人による監督のもと、任意後見人による支援が開始される

なお、身内が選ばれる任意後見制度においては、任意後監督人がつきます

そこを通じて、間接的に家庭裁判所が任意後見人を監督することとなります。

ちなみに、公正証書に本人が希望する任意後見監督人候補者を記載しておくこともできますが、本人の希望通りに選任されるとは限りません。

任意後見監督人の報酬はいくらか

任意後見監督人に支払う報酬額は、家庭裁判所が決定しますが、基本的には財産の大きさで決められます。

報酬の目安は「管理財産額が5,000万円以下の場合には月額1万円~2万円、管理財産額が5,000万円を超える場合には月額2万5000円~3万円」です。

任意後見受任者は任意後見人になる

任意後見監督人の審判が確定すると、任意後見受任者は任意後見人となり、任意後見契約に基づき職務を行うこととなります。

だいたいの流れはつかめたぞ。

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