家族信託とはなにか。遺言との違いはなに?

相続

最近はテレビで家屋信託について特集してたんじゃが、一体なんのことじゃ。

今回は家族信託について解説するよ!

家族信託とはなにか

家族信託とは、自分で自分の財産管理をできなくなってしまった時に備えて、家族に自分の財産の管理や処分をできる権限を与えておく方法のことをいいます。

家族信託の仕組み

家族信託の基本的な仕組みについて具体的に解説します。

家族信託では委託者、受託者、受益者の3者が当事者となります。

・委託者:自分の持つ資産を託す人
・受託者:資産を託されて、信託の目的の中でその資産を管理する人
・受益者:信託された資産の財産から産まれる収益等の利益を受取る人

財産の所有者である委託者が、遺言や信託契約によって受益者に財産の管理処分の権限を与えます。

最終的に受益者が財産からの収益を受け取れるようにする形が一般的です。

なお、委託者自身が受益者となることも問題ありません。

実際にはこの形が多いよ!

家族信託が使われる具体的なケース

自分が認知症になってしまったときに備えて特定の人を財産管理の責任者に指名しておく方法としては、家族信託のほかにも成年後見制度(任意後見)があります。

しかし、成年後見制度では実際に自分が認知症等の状態になるまでは財産管理の委任をスタートさせることができないほか、後見開始後にも金額が大きい財産の処分を行う際に家庭裁判所の許可を得なくてはならないなどのデメリットがあります。

この点、家族信託を利用すれば自分が認知症等の状態になる前から財産管理を任せることができますし、財産の管理処分については信託契約であらかじめ定めておくことができますから、柔軟な資産運用にも対応することが可能となります。

家族信託を使うメリット5つ

ではメリットをまとめてみます。

後見制度よりも財産管理や活用が柔軟にできる

成年後見制度の場合は本人(被後見人)の財産を本人(被後見人)の生活を守るためにしか使用できません。

したがって積極的な投資や、相続税対策はできません。なぜなら、それらは本人の為ではなく、相続人の為にするものだからです。

それに対して、家族信託では本人が元気なうちに、目的や希望を家族信託契約の中に書いておけば、受託者が柔軟に財産管理や資産の有効活用をする事ができます

例えば、古くなったアパートの入居者を増やす為に積極投資をしたり、資産を組換えて相続税対策をする事も可能です。

これらは、後見制度では難しいことです。

自分が亡くなった後、次の相続についても決める事ができる

家族信託には遺言と同じ様な効果があります。

しかし遺言との一番の違いは二次相続(本人が亡くなった後の相続)以降の資産の承継先を自分で決められるという点です。

例えば、夫が死後に妻に自宅に住み続けてもらいたいが、妻が死亡したらその自宅を長男に相続させるような事も決められます。

遺言は自分の亡くなったときの事しか決められないから、大きな違いだね

受託者の判断でいつでも銀行口座から出金できる

本人が認知症や急死した場合でも、受託者が自分の判断で銀行口座から出金をする事も可能です。

その他にも不動産を信託していれば、受託者の判断で売却する事もできますので、急にお金が必要になったときにも対応できます。

受託者が破産しても信託財産は守られる

信託契約には「倒産隔離機能」という機能が有ります。

倒産隔離機能とは、例えば子どもを受託者にして資産を信託した場合に、その子どもが破産をしたとしても信託した資産は、受託者の個人の資産とは区別されるので信託した資産は影響を受けません

受託者への高額な報酬が不要

家族信託は家族間で行うので、信託銀行などに同じ業務を依頼するときのような高額報酬は不要です

もちろん受託者に報酬を払う事はできますが、信託報酬は無償でも大丈夫です。信託報酬が安くつくのは、銀行などに任せる制度との大きな違いです。

家族信託のデメリット

いい事尽くめに見えるが、デメリットはなんじゃ。

受託者を誰にするかでもめる可能性がある

家族信託の受託者は、親族内の信頼できる人に任せることになります。

本人が指名することには全く問題はありませんが、実際には誰が受託者として選ばれるかという場面で親族の仲が悪くなってしまう可能性があります。

家族信託では、本人の不動産が受託者名義になるなど、本人名義ではなく受託者名義になる場面が多々あります。

受託者に選ばれなかった人としては、自分をのけ者にされているように感じ、面白く思わないかもしれません。

家族信託を活用する際には、受託者として選ばれない人にも十分な理解や、配慮を求める必要があります。

まとめ

家族信託は、まだあまり普及中の制度なので、詳しい専門家が少ないという現状があります

自分たちだけで家族信託契約の中身を考えるよりも、専門家の力を借りたほうが、後々安心です。

ただ、専門家を選ぶ際は、家族信託についてよく勉強している専門家を選ぶようにしましょう。

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