近所のじいさんが、「自分の遺留分が侵害されたから請求をする」と大騒ぎしていたのう。
遺留分侵害額請求をするんだね。今回は、遺留分侵害額請求の手順について解説するよ!
遺留分とはなにか
遺留分とは、残された家族の生活を保障するために、最低限の金額は相続できる権利のことをいいます。
例えば、妻がいるのに何も残さない遺言を書かれると妻が生活できなくなる恐れがあります。
そのようなケースを防ぐために、最低限はもらう権利が認められています。
遺留分については以下の記事でも解説しているよ。
遺留分侵害額請求とはなにか
最低限は相続できる権利が認められると言っても、何もしなくても支払いを受けられるというわけではありません。
実際に遺留分の返還を受けるには、遺留分の請求をする必要があります。この請求のことを「遺留分侵害額請求」といいます。
遺留分にも時効はある
遺留分侵害額請求には「時効」という期限があります。時効をすぎると請求できなくなってしまいます。
時効の期限はつぎのとおりです。
どちらかの期間が経過したら、遺留分は時効によって請求できなくなります。
遺留分を取り戻したいと思ったらできるだけ早めに手続きしましょう。
遺留分侵害額請求の具体的な方法
遺留分侵害額の請求には、特に決まった方法があるわけではありません。
法的には、書面でなく口頭でも有効とされています。
ただし、請求をしたという証拠を残さないと請求する権利が消滅してしまうので、必ず証拠を残す必要があります。
そのため、必ず配達証明付き内容証明郵便で請求しましょう。
ここでは遺留分侵害額請求をするときの請求書の例文をご紹介します。
遺留分侵害額請求書
被相続人 夢路こいしの相続につき、ご通知差し上げます。
被相続人は、その遺言書(令和◯◯年◯月◯日)において、全遺産を貴殿に遺贈するとしております。 しかし、この遺贈は私の遺留分を侵害するものです。
したがって、私は貴殿に対し、本書面をもって遺留分侵害額金◯◯◯万円の支払いを請求いたします。
本書面到達後◯週間以内に、下記口座宛て振込む方法にてお支払いください。
記
◯◯銀行◯◯支店 普通預金 口座番号:◯◯◯◯◯ 名義人:夢路たかお
以上
令和◯年◯月◯日
住所:東京都中央区○○町1-2-3
通知人:夢路たかお
住所:東京都渋谷区○○町1-2-3
被通知人:夢路はなこ
請求書を送ろう
請求書を作成したら、それを内容証明郵便で送ります。
内容証明郵便とは、郵便局と送った人の手元に相手に送ったものと同じ内容の控えが残る郵便のことです。
郵便局によっては日付も記入されたり、配達証明をつければ相手に送達された日も証明できます。
配達証明付き内容証明郵便を使えば、いつどのように遺留分侵害額請求をしたのかが証明できるということです。
内容証明郵便の費用
内容証明郵便で遺留分侵害額請求をする場合は1000円~2000円程度ですることができます。
相手と交渉をしよう
内容証明郵便で遺留分侵害額請求をしたあとは、実際に交渉をして、具体的に返還方法を話し合う必要があります。
お互いが納得して話し合いの決着がついたら、遺留分の返還を受けることができます。
このとき、後々のトラブルを防止するために合意書を作りましょう。
相手が話し合いに応じなかったり、話し合いをしても合意ができなかったりしたら遺留分侵害額の「請求調停」などする必要があります。
弁護士に依頼する場合の費用
遺留分侵害額請求が思うように進まないときは、弁護士に依頼することもできます。
実際の費用は裁判をするか否かによって大きく変わりますが、数十万円から100万円程度はかかるケースが多いです。
決して安い費用ではありません。
整った遺言を作ることが最優先
「遺言書があって、揉めたらどうするか」よりも、「揉めない遺言書」を作ることが、最も効果的です。まずは専門家に相談して、なるべくトラブルにならない遺言書を作りましょう。
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