相続税を計算するときに、財産の評価額というのはどのように出すんじゃ。
いい質問だね!今回は相続財産の評価方法を解説するよ!
相続税評価額とは
相続税評価額とは、相続税や贈与税を計算するときの基準となる課税価格(財産価値)のことです。
相続税を計算するには、それぞれの財産の価値を調べなくてはなりません。
これから一般的な評価方法について解説します。
土地の評価
宅地の評価の基本は、自用地です。
自用地とは、他人が使用する権利のない土地のことをいいます。
自用地以外の宅地は、まず自用地として評価額を出したのちに一定の調整を行なって評価することになっています。
借地権割合と借家権割合
これから土地や建物の評価をするときに『借地権割合』と『借家権割合』が重要になるので、簡単に解説します。
借地権割合とは
借地権割合とは、土地の更地評価額に対する借地権価額の割合をいいます。
つまり、土地の価格のうち、土地を借りている人が得られる経済的利益の割合のことです。
借地権割合は、30%、40%、50%と10%刻みになっており、最高は90%です。割合が高いほうが利用価値が高い土地であるといえます。
借家権割合とは
借家権割合とは、建物の借主がその建物を使う権利割合ことを指します。
国税庁が公示する財産評価基本通達によって全国一律で『30%』と決められています。
土地の評価方法
では、さっそく土地の評価方法を解説します。
土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。
路線価方式
主に市街地で採用される評価方式で、毎年国税局が作成する路線価図に基づいて土地を評価します。
路線価は、その道路に面する標準的な土地の1㎡あたりの価値を千円単位で表記しています。路線価図は国税庁のサイトで確認できます。
ただし、同じ路線価がついていても、綺麗な正方形の土地といびつな形をした土地が同じ評価額になるのはおかしくなります。
そこで路線価に面積をかけて評価するだけでなく、土地の形状などを考慮して評価を補正する決まりとなっています。
この土地の評価を補正するルールは複雑なので、正確な数字が必要なときは必ず税理士に相談しましょう。
大体の数字が知りたいときは、細かく補正の計算はしなくてもええのう。
倍率方式
都市郊外の地域で路線価が定められていない地域で採用される方式で、固定資産税評価額に一定の倍率をかけて、評価額を求める方法です。
先ほどの路線価方式と比べると、計算がとても簡単です。
この倍率方式を使う地域は、人口が少ない地方や田畑、山林、原野などが多い場所です。
貸宅地の評価方法
貸宅地とは、簡単に言うと「人に貸している宅地」のことです。
貸宅地の評価額は、自用地としての相続税評価額から一定割合が引かれた額になります。
貸宅地は、所有者が土地を自由に使うことができず、自分で使用する土地よりも財産的価値が下がるため、その分だけ評価額も減額されるというわけです
貸家建付地
アパートの敷地のように、自分で所有する土地に自分で建物を建て、その建物を人に賃貸している土地のことを「貸家建付地(かしやたてつけち)」と呼びます。
アパートを借りている人にすぐに出ていってもらうことができないので、自用地に比べて評価額が下がります。
私道の評価
私道(道路)を持っている場合には、行き止りか通り抜けできるかによって評価が異なります。
通り抜け私道
通り抜けができる私道の場合には、不特定多数の人がその私道を使うこともあり公共性が高いので、相続税評価額はゼロ円になります。
行き止まり私道
通り抜けができない行き止まり私道の場合には、特定の人しか使わずに公共性が低いので、自用地評価額の30%で評価します。
建物の評価
・貸家:自用家屋の価額 ×(1-30% × 賃貸割合)
建物の場合には土地と違い、固定資産税評価額の数字をそのまま利用するため簡単です。
1つ注意点としては、賃貸中の建物については、借家権割(30%)評価額を減額することができることです。
その他の金融資産など
上場株式の評価
(1)相続開始の日の最終価格
(2)相続開始の月の最終価格の月平均額
(3)相続開始の月の前月の最終価格の月平均額
(4)相続開始の月の前々月の最終価格の月平均額
生命保険金の評価
受取金額 - 非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)
退職手当金の評価
受取金額 - 非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)
預貯金
元金 + 既経過利息の手取額
上場投資信託の評価
先ほどの『上場株式の相続税評価』に準じて評価
ゴルフ会員権の評価
取引相場 × 70%
書画・骨董品の評価
専門家による鑑定価額等
全てちゃんと評価の方法が決まっているんじゃのう
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