遺言書を作成して相続人を指定しても、その相続人自身が先に亡くなってしまうケースがあります。
そのとき、遺言の内容は「代襲相続」されて、相続人の子どもが遺産を受け継げるのでしょうか。
結論としては、遺言の内容は代襲相続されません。
この記事では、遺言書で指定した相続人が先に亡くなっていたときなぜ代襲相続されないのか、また困らないための対処法などを解説します。
近所のじいさんの遺言が見つかったんじゃが、すでに亡くなっているお兄さんに全財産を渡すと書いてあるんじゃ。
遺言書で指定した相続人が、先に亡くなってしまったんだね
その場合は、その財産は誰が受け取れるんじゃ。亡くなったお兄さんの子供が受け取れるのかい。
詳しく解説するよ!
遺言の内容は代襲相続されない
遺言で指定された相続人が先に死亡した場合は、その財産は代襲相続はされません。
代襲相続とは
代襲相続とは、相続人が被相続人(亡くなった人)より先に死亡した場合、相続人の子どもが代わって相続することです。
例えば長男が父親より先に死亡した場合、父親の遺産は長男の子ども(孫)が代襲相続します。
ただし、これは遺言書が残されていないケースのみ適用されます。
遺言の内容は代襲相続されない
では、遺言が残されていた場合はどうでしょう。
冒頭で説明した通り、遺言の内容は代襲相続されません。
その理由は、遺言は死亡時に効力が発生するので、死亡時に受取人が存在している必要があるからです。
よって、死亡時にすでに指定された相続人が存在しない以上、遺言の効果は失われることとなります。
理由は難しいが、とにかく下の世代が無条件に引き継がれる訳じゃないのじゃな。
先に亡くなった人の受け取る分はどうなる
遺言書で指定された相続人が、遺言者より先に死亡した場合には、その遺言で指定された相続人の部分については無効となります。
つまり、指定された相続人が受ける予定だった財産については、遺言書がなかったときと同じ扱いになります。
法定相続人全員に遺産分割協議によって、その財産をどのように相続するかを決定します。
なにっ、無効になってしまうのか!
相続人が先に死亡したケースに備える「予備的遺言」
相続人が先に死亡したケースとなった場合に備えて、次の受取人を決めておくことが大切です。
そのようなとき、「予備的遺言」がおすすめです。
予備的遺言とは
予備的遺言とは、指定した相続人が死亡していた場合に備えて、遺言書の中にさらに次の受遺者を指定することです。
別の遺言書を作るわけではなくて、同じ遺言書の中で指定することだね。
予備的遺言を書いておくことで、もし自分が認知症になって遺言書を書き直すことができなくなった場合に対しても、備えることができます。
予備的遺言の書き方
予備的遺言の基本的な書き方は、以下のようになります。
ただし、私と同時もしくは私より先に長男が死亡した場合には、長男の子に相続させる。
予備的遺言の記載例
次に、具体的な予備的遺言の文例を紹介します。
第1条 遺言者は、遺言者の長男◯◯◯◯(昭和◯年◯月◯日生)に、下記の預貯金及び利息金を相続させる。
記
◯◯銀行◯◯支店
普通預金 口座番号 ◯◯
定期預金 口座番号 ◯◯
第2条 遺言者は、前記長男◯◯◯◯が遺言者と同時もしくは遺言者より先に死亡した場合には、同人に相続するとした前条の預貯金及び利息を同人の長男△△△△(昭和△△年△△月△△日生)に相続させる。
書き方間違えると効力が失くなる可能性
予備的遺言は遺言者の希望を叶えるために、とても有効な方法です。
ただし、素人判断で誤った書き方をすると、目的を達成できなくなってしまったり、文意不明で効力が失くなってしまう可能性もあります。
せっかく書いても、効力が失くなるのは怖いのう。
予備的の遺言作成が不安な方へ
確実に希望を実現するには、法律の専門家によるアドバイスがおすすめです。
また遺言書を無効にしないためには、公正証書遺言の利用が推奨されます。
それらの自分で手続きするのが面倒、あるいはやり方がわからないという人も多いと思います。
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